2008年11月14日金曜日

歴史を手に取る

エステートセールで出逢った、オールドノリタケのディナーセット。
毎度のことですが、この地で故郷の品に出逢うと感慨深い気持ちになります。
中でもこのディナーセットは、これまで知らなかった歴史に触れるきっかけを与えてくれました。

このディナーセットは、大正から昭和初期にかけてアメリカへの輸出向けに作られたもの。
ノリタケなのに何故裏印が「M」なのかといいますと、ノリタケカンパニーの前身となった「森村組」から由来してのことです。

時代は遡ること江戸末期。
丁度大河ドラマ『篤姫』の時代でしょうか。
当時西洋のものが大量に国内に流入する一方で日本の金が日本にとって不利な条件で海外に流出していました。
これにいち早く気付いた森村市左衛門という商人があの福沢諭吉に指南を仰いだところ、「日本もこれからは積極的に輸出貿易を行い、外貨を獲得せねばならない」という助言を受けたのです。(福沢諭吉は一万円札の顔に相応しいと今更ながら納得。)
こうして森村市左衛門は、開国後間もない明治9年貿易商社森村組を設立。
当時の日本では製造が困難だった大きな洋皿の開発に見事成功し、このようなディナーセットが海外に向けて輸出されていったのです。

このアメリカの地で出逢う日本の食器はノリタケだけではありません。
九谷焼、薩摩焼など数々の日本の伝統工芸品が明治から戦後にかけて外貨獲得の手段として世界各国に広がり、今もなお海外で高い評価を得ているのです。

こうした「日本の海外輸出向け品」を手に取る度に、日本の発展を支えた職人さん達の魂を感じずにはいられません。
やはり、日本人の「ものづくり」「技術力」は凄い!!

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